化学を楽しむ 〜テクノサイエンスカフェでの学生企画〜

7月23日土曜日、


工学部のテクノサイエンスカフェにt-timeのメンバーがお手伝いに行ってきました。

小学校高学年から中学生を対象としたこのイベントには100名以上の方にお越しいただきました。


今回のイベント、実はTtime!のメンバーに大きな仕事が任されていました。


以前のイベントで集められたアンケートで「学生と交流したい」というご意見をたくさんいただきました。

そこで今回は広報アシスタントのうち、化学生命系に所属している学生有志で、「交流できるイベント」を企画・実行することになりました。



水でできたプラスチック「アクアマテリアル」を開発した相田卓三先生のお話のあと、私たちの出番です。



6つのテーブルに7人の参加者と1人の学生がつきました。

班の名前は希ガス元素からとってHe, Ne, Ar, Kr,Xe,Rnでした。まずは自己紹介とアイスブレイク。化学かるた元素編をみんなで楽しみました。

私が入ったAr班は小学校5年生がほとんどでしたが、みんなとてもよく勉強しており、化学かるたをものすごい速さで取り合っていました。


中には「周期表Neまで覚えてるよ!」なんて未来の化学者も。


ここで、ある元素のスペシャルカードを取った人に賞品が用意されている、というのはまだ秘密。



かるたでみんなのテンションが上がったところで、次は学生オリジナル化学クイズ全4問。




第1問は原子の大きさを問うクイズ。
一円玉をつくるアルミニウム原子を題材に原子の大きさをイメージしてもらいました。


"もしアルミニウム原子一個がピンポン玉くらいの大きさだったら、一円玉はどれくらいの大きさか?"
選択肢は東京ドーム、北海道、月。



「月は大きすぎる」という意見が出て北海道を選ぶ班がほとんどでした。

でも答えは月。
正解を知らせると会場がどよめきました。原子のびっくりするほどの小ささを理解してもらえました。


第2問は紫キャベツの色の変化を予想するクイズ。

紫キャベツはpHに応じて色が変化すると小学校の理科で勉強します。


そこでちょっと問題を難しくしてクエン酸重曹、洗剤(花王のマジックリン)、ミョウバンの4つが何色になるのかを考えてもらいました。


紫キャベツは酸性が赤色アルカリ性緑色黄色になることを知っていても、洗剤のような身近な物質が何性なのか実はよく知らないところをついた問題でした。


それでもしっかり酸性、アルカリ性を考えながら4つすべての色を正解した班がありました。すごい。

実験の様子と答え



第3問と第4問はフルーチェに関するクイズ。フルーチェは原液と牛乳を混ぜると固まるおいしいお菓子ですね。


第3問は、"牛乳に混ぜるとフルーチェが固まらなくなるものは何か?"

選択肢はレモン汁、砂糖、重曹です。



そして第4問は、"牛乳以外でフルーチェを固められるものは何か?"

選択肢はレモン汁、酢、にがりです。



フルーチェが固まるメカニズムは、原液に含まれるペクチンという物質が牛乳に含まれるカルシウムイオンと結合することでペクチンがカルシウムイオンに橋渡しされてどんどんつながり網のような構造をつくります。


これがフルフル感の源です。

ということで、フルーチェが固まるにはカルシウムイオンが必要です。そしてカルシウムとペクチンがくっつかなくてはなりません。


イオンや静電気的な相互作用といった高度な内容を含んでいるため難しすぎるかと思っていましたが、なんと第4問は半分の班が正解。中学生の班はしっかりとカルシウムイオンの必要性を説明できていました。


実験の様子と答え



最後は小学4年生のHe班と中学生のRn班が同点一位で優勝になりました。
優勝した2班には化学かるたを賞品としてプレゼント。



そして、化学かるたのスペシャルカードを種明かし。


スペシャルカードは化学クイズで活躍したカルシウムでした。こちらは東大ロゴ入りマグカップと、ここでしか手に入らないアクマテ君シールをプレゼント。



学生と交流できる企画をやろう。


初めての試みということもあり頑張って準備をしました。
それでも時間が予定よりも長くかかってしまったり、途中トラブルがあったり。


ただ、参加してくれたみなさんの楽しそうな笑顔を見たら準備の大変さも忘れて一緒にイベントを楽しめました。
今回のイベントをよく反省して次回のイベントに活かしていきたいと思います。

(朝倉)